serial experiments lain ファンアートSS

SS 目次へ

Layer:04 
――ファントマと少年


金出してゲームするなんて、ただのバカだよ。

昨日そう言っていた友達が死んだ。
マンションから飛び降りたらしい。

自殺するような性格には見えないから、事故だと思う。
けど、今どきマンションでそう簡単に下に落ちるか?

小学生から遊んでいた仲だったので悲しいハズなんだけど、実感がなくて涙は出ない。

学校から帰ってNAVIを開くと死んだ友達からメールが来ていた。
送信日時は昨日の夕方だった。
昨日は家族でテレビを見てたら遅くなってメールをチェックしていなかったっけ。

「おまえにもやるから、一緒にやろうぜ」

メールには違法コピーされたゲームのデータが添付されていた。

悪いことだとわかりつつも「みんなやってる」「バレやしない」ということを笠に着て、何より僕がこれで遊ぶのが、何故か死んだ友達の遺言のような気がして、一度だけプレイしてみることにした。



ワイヤードにログインし、インストールして起動すると、目の前にダンジョンが現れた。
チュートリアルに沿って、銃の打ち方を覚え、出てくる雑魚を撃ちまくった。

なかなか当たらない射撃に苛立ちながらも、次第に、なぜか死んだ友達に対しての感情が高まっていく。

「なんで――、死んじまったんだよっ!」

気がついたら涙がこぼれていた。
全然いい奴じゃなかったけど、それでも一緒にいたら楽しい友達だったんだ。


晩御飯だと親に呼ばれて、泣いていたのがバレないように乱暴に涙を拭った。

夕食後、夜風に当たりたくなって、コンビニに行ってくると言って家を出た。


コンビニで、いつも飲んでいるお茶と、あいつの好きだったジュースを買った。真っ直ぐ帰る気になれず、回り道をして家路につく。

暗い路地を歩いていると、ふと視界の端に人影が見えた気がした。

気配の方を見てみると、さっきまでやっていたファントマのダンジョンの通路が見えた。

「えっ」

NAVIも持っていない、外を歩いていたはずなのに、なんで――

周囲を見渡すと、360度ダンジョンが広がっていて、気づくと背後に人の気配、いや、人ならざる者の気配を感じて僕は悲鳴を上げた。

「うわぁぁぁ!」

怖くなって走りだした瞬間、身体に強い衝撃を受けた気がする――。


@96kuroguro


SS 目次へ